Introduction
私たち36チャンバーズ・オブ・スパイスは、レトルトカレーについての違和感を、あんまりな独特な異臭と食感、無機質な見た目にあるとし、その克服を目指しました。
トライ&エラーの繰り返しと啓示めいた閃きによって、それらを克服してできた私たちの製品を「スペシャルティ・レトルトカレー」と名付けました。
以下に「スペシャルティ/特徴・特殊性(他と区別されるきわだった性質)」という言葉を選んだ理由をいくつかあげてみます。
レトルトカレーの「異臭」の発生原因は原料の可食推奨部分以外にあると私たちは考えました。簡単にいうと灰汁(あく)の発生源です。レトルトカレーの法律で定められている100℃以上の高温度での殺菌工程で異臭が発生すると、密封状態のパック内にそれがこもりカレーに染み渡ってしまいます。
清潔で新鮮な肉や野菜などの原料の選択と、製品加工前のそれらのクリーニングの徹底により異臭の発生を防いでいます。
高温度で加熱されたレトルトカレーの具材は、食感が損なわれがちです。圧力鍋調理をイメージするとわかりやすいのですが、おもに肉のパサつきに顕著に現れます。
通常の温度調理にて扱う肉質よりも脂分がやや多めのものなど選んだり、また加熱工程において原料の投入箇所を工夫して理想の食感を実現させています。

盛り付けされた見た目も、美味しさの非常に大切な要素です。
オートメーション化された工場では、肉や野菜などの具材をホースを通してパックに自動的に充填することがあります。そうすることにより、すべての原料がそのホースを通る均質的なサイズになってしまい、無機質な見た目になります。
またパックに自動的に機械でつめやすくするために、カレーソースに増粘剤を添加しトロミをつけることがあります。
不自然にポッテリとした見た目はそれに由来するものです。製造都合を優先せずに、美味しそうと感じられる見た目を追求しています。
ここまで長々と書いてきたことを振り返ってみると、「スペシャルティ・レトルトカレー」とは、とある美味しいカレーのレシピを愚直なまでにそれをなぞって再現し製品にしただけのもののようです。
私たちは工業製品には必須の「効率化」を見直し、
それにより省かれた
面倒だがやはり必要な工程や作業を
製品製造に再度取り入れることにしました。
こうして「スペシャルティ・レトルトカレー」が
誕生したのです。

(文・写真:36 c.o.s)